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そよ風も止んだ。

さぁ、何が起こったか説明を始めよう。

先ず、尾行をしていた三人の視界からわざと外れた。その上で足音を大袈裟に立ててここまで走って来た。三人組が完全に撒かれない様にわざと………である。

『急激な行動の変化による困惑』と『尾行がバレたかも知れない』という不安で、考える余裕を奪い取り、私の思惑に誘い込みやすくする。

「ポイントは、相手の思考の機会と余地を奪う事だ。

たとえ複雑で緻密な策略でも、思慮深く行動されては見破られ、役に立たない。どころか、逆に相手に利用されてこちらが手痛い目に遭わされる場合も有る。

逆に相手の思考を奪ってしまえば、冷静に考えればすぐに見破れる策略や単純な手法でも、あっという間に邪悪な犯罪者の使う、最高の一手に変わる。」

こうして階下に走った私は、トイレ寸前まで足音を響かせ、ギリギリのところで足音を消してトイレへと入っていった。

中に居る人間に悟られない様に………だ。

その消音状態をキープしたまま、用具入れに隠れ………無かった。

用具入れからバケツを取り出し、水道の真下に置いておいた。

その後で私は用具入れに入り、気配を完全に消した。

こうして単純な思考の娘(大)(中)(小)はトイレへと駆けこみ、バケツを見つけて水を放り込んだ訳だ。

扉の中に居る人間があの戦慄淑女(ミス=フィアレディー)でなく、私だと勘違いした状態で。

バケツをわざわざ置いた理由は、用具入れの方へ目を向けない為、そして彼女達がバケツに水を汲んで中の人間に危害を加え易くする為だ。

『場所はトイレという水道の有る場所。思考が浅い状態で、更に目の前には丁度良い具合にバケツが有る。』という環境。

『バケツに水を汲んで中の人間に掛けよう。』とは考えられても、『何故用具入れにある筈のバケツがここにあるのだろう?もしかしたらこのバケツは罠かもしれない。』とは考えられなくなる。

思考が固定される訳だ。

こうして、私の狙い通りにバケツに水を汲んで、ミス=フィアレディーに攻撃を仕掛け、ノーダメージで般若の面で怒り心頭状態の彼女に連れ去られた訳だ。

バケツは如何言い訳をしても『彼女達が用具入れから引っ張り出した。』と思われ、証拠も無い。

用具入れから出て来たシェリー君を見た者は居ない。故に、『このトイレには三人とミス=フィアレディー以外は誰も居なかった。』という事実だけが残る。

三人組が私に疑いを掛けたとしても、糾弾は出来ない。

残念ながら我々の罪を証明する事は、煙を掴む事と同義だ。


フッ


「さぁ、では、戻るとしよう。

気を付けたまえ、ここで誰かにトイレから出る所を見られてしまっては、完全犯罪は頓挫確定だ。」

「………物騒なワードが出ましたが、了解です。」



にしても、ミス=フィアレディーは濡れなかったようだ…………ハハハハハハハハハ!


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― 新着の感想 ―
用具入れから出て来た私達を見た者は居ない。 敢えて、『私達』とありますが、教授は誰にも見えない存在。『私』で良いように思えるのですが。
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