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未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書  作者: 黒銘菓
モリアーティー嬢とモリアーティー教授
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校則とは非合理的なものである。

教授のキャラが若干新宿のアラフィフに引き摺られかけて不安です。

もしかしたら、編集して直す事が有るやもしれません。ご了承ください。


 私は椅子に腰掛けていた。と言っても、幽霊なので「フリ」ではあったが。

 シェリー嬢はベッドに腰掛け、私を見ていた。

 さぁ、講義の時間だ。

 美しき数学。数式。計算。直接手を触れずに人々を意のままに操るメソッドを教えよう。

 今回は『あの豚嬢を(おく)る方法について』だ。

 先ず、最低限式を組み立てるのに必要な物が有る。

 今回関わる事物に関するデータだ。

 『またデータ!』そう思った君に、理由を説明しよう。

 何度も言う通り、計算式を立てる時はデータが必要だ。

 何も無ければ1+1=2の式には意味が無い。

 とある場にリンゴが有る。というデータ。

 同じくとある場にもう一つ。リンゴが有る。というデータ。

 その時、その場にはリンゴが幾つあるか?という疑問に対し、以上のデータを用いて1+1という式を作り出し、解く。

 故に2という数字に意味が有る。

 計算問題を延々解くのは作業を速くする方法としては完全な無駄では無いが、応用力に欠けるし、何より、面白くない。

 数学は嫌いかね?

 私も学校の算数や数学は嫌いだった……ビシビシビシ……ッ!

 察してくれ。

 だが、これだけは言わせてくれたまえ諸君。

 それは数学や数式の深淵ではない。

 本当に数学の持つ魅力はそこには無い。

 自身の作り上げた式が真実であったと、苦労して作り上げた1+1=が本当に2であった時のあの快感。

 数字が予想通りに動き、己の頭脳が世界を意のままに動かしたとき。

 それは何にも再現できない快感を伴う時間なのだ。


 「この学園には制服は有るかね?」

 「無いです。それぞれが見苦しく無い様な召し物を自分で考えて(・・・)着ろ。と。」

 良いのではないか?

 ロクに見ることの出来ていないクセに、まともに観察出来ていない外見だけを見て判断する者も世の中には居る。

 それらを逐一躱すのも面倒だから隙の無い外見たれ。

 『考えて着ろ。』というのはそういう事だろう。

 「その結果、貴族令嬢達は皆、ドレスの美しさを競う勝負を毎日繰り広げています。」

 ………………読解能力が早くも不安だ。

 この程度の読解も出来ないとは……………恐るべし貴族令嬢というべきか……………………。

 次は、

 「この学校に校則や罰則。禁則事項は有るかね?」

 ルールを知らねばルールの穴を掻い潜ったり、ルールに則って相手を断罪したりする事は出来ない。

 勝利には必須だ。

 それを聞いた彼女は、懐から…と言ってもポケットでなく、胸元から手帳を取り出した。

 おっと、紳士は目を瞑りたまえ。

 紳士でなくとも目を瞑りたまえ!

 「無闇に魔法を使ってはならない。」

 彼女は手帳を開くとルールを読み上げ始めた。

 おやおや。シェリー嬢は魔法攻撃を食らっていたと聞いたが………あぁ、権力で握り潰したのか。

 でなければ、シェリー嬢が泣き寝入りするのを見越して、監督者不在の最中にやっているのだろう。

 全く、愚かな事を!!

 バレなければ犯罪で無いとでも言う気かね?

 憤りを隠せない。

 被害者にバレては犯罪だ!!

 やるなら私が今からやるように、被害者さえも事故と思ってしまうような、不慮の、不幸な事故とするのが常識。

 全く、愚かしき悪役擬きだ。

 「消灯時刻は厳守。

 消灯時刻以降は無闇に外に出歩かない。」

 有りがちだな。

 まぁ、それは関係有るまい。

 教師の目が100個有ろうと、それは私の障害にはなり得ない。

 「原則。部屋内に飲食は持ち込まない。」

 ふん?どういう事だ?

 それを察したのかシェリー嬢は補足をする。

 「この学園には栄養管理者の方がいらっしゃいます。

 生活に必要で美しく有るための栄養を計算して毎日の食事は作られています。

 飲食を持ち込めるようにすると、栄養が偏る。のだそうで。」

 栄養…ね。

 監獄としては有能だ。

 品性と教養、美貌を備えて王子をたぶらかす。

 合理的だ。

 まぁ、それは守られていれば(・・・・・・・)の話なのだがね。

 「許可無き外出は厳禁。」

 なんだ…………許可があれば外出は許されるのか。

 つまらんな。脱獄のスリルが減ってしまった。

 「学園敷地内の設備の破壊は厳罰。」

 問題無い。

 設備が破壊されるのは劣化か不慮の事故の時だけだ。

 そう、不慮の事故。

 破壊の痕跡など残さんよ。

 それは三流未満のやる事だ。

 「他者を害してはならない。」

 だろうな!!当然の事だ!!

 が、それなら何故、彼女は今さっき、まさに自殺を選ぼうとしていたのかね?

 全く、校則とは暴君の悪法の如し。だ。

 守られるべきが守られず、どうでもいい事だけは厳守させる!

 下着や髪色さえ指定する校則が世の中にはあるとは………作った暴君の変態性や()()が目に見える!!

 「教師、監督生への不敬には厳罰を与える。」

 監督生。模範囚みたいなものか。

 或いは刑務官…警察官予備。といったところか?

「生徒手帳の紛失をしてはならない。」

 成る程。

 シェリー嬢があんな場所に生徒手帳をしまっていた理由が解った。

 盗まれるのだろう。

 または盗まれた経験が有ったか。

 故に、彼女は安全な場所に隠していた。

 後は省略する。

 下らん条項を説明されても退屈なだけだ。

 後で資料に纏めてでもおくさ。


有り難う御座います。評価PT50超え&2700PV超え。

一週間。といっても、まともに書いたのは月曜午前からなので5日切っているのですが、ここまで評価頂けるとは夢にも思わず、感激。そして、『どうしよう?方程式が未だ11個しか無い!』と内心戦慄しています。


 頑張ってネタを作るので、良ければ応援お願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 棺桶(兵器)を振り回してないので大丈夫です。(多分)
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