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未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書  作者: 黒銘菓
シェリー君の帰省と(夏休み後編)
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高密度な賊


「お前ら目的変更だ!最優先であの餓鬼を捕まえろ!本物の村の場所を吐かせろ!」

200人の賊がシェリー君目掛けて砂糖に群がるアリの様にワラワラとにじり寄って来る。

丸腰の可憐な少女一人に大の男が武器を持って寄ってたかって迫ってくる光景は醜い以外の何物でもない。

「やれェ!」

ガチャガチャワラワラ、ならず者が武器を振り上げて迫る。

シェリー君はただそこに立っているだけ。何もしない。

迫る賊の魔の手、手助けする者は無い。

200人の軍勢がシェリー君に…………




「オイ押すな!」

「五月蝿ぇ!お前こそ邪魔だ!」     「ふざけるな動けねぇだろぉが!」

                「誰だよ俺の剣取った奴は!」

  「知るかよ!それより足を………オィッ!」         「痛い痛い!止めろ押すなよ、痛い痛い!」        「グェホッ!」      「何だよ動けねぇ!なんだよこれ!」       「危ねぇ!誰だよ斧投げた奴!」       「進めよ何でお前ら行かねぇんだよ!」        「何だよこれ⁉くっ付いて取れねぇ!」

  「ふざけてる暇有ったらさっさと進めよ!」                    「邪魔すんなよ!」




待てど暮らせど辿り着きはしなかった。

シェリー君がただのハリボテの、倒壊するだけの村を作る訳が有るまい?

偽の村の中心部。入り口とシェリー君の中間地点には私謹製の蜘蛛の糸がそこら中に緩く、弛ませた状態で張り巡らせてあった。

ここまで来る時に馬車をひっくり返すのに使ったあの糸と同じようなモノだ。

まぁ、濡らすと粘着性を帯びるタイプの、バリエーション違いの糸だがね。

例えば、200人の賊がそこに所狭しとワラワラ迫っていったら、弛んだ糸は先頭の奴等の体に纏わりつき、動きを止め、後続の奴等の足止めをせざるを得なくなる。

糸は切れず、体勢を崩し、足の引っ張り合いが起き、人が人を絡め取って動けずにいる。

人が多いという事は、連鎖的に行動不能にする事が可能になるという事だ。

これが一人ならば仕掛けてもここまではならなかった。


ある者は逆さ吊り状態に、ある者はバレリーナ宜しく片足立ちでポーズを決め、有る者は髪の毛だけ糸に絡め取られてまるで毛髪が逆立った様になり、ある者は腕のみ見えている状態で他の部分は賊のスクラムに埋もれ……………賊のミートボール。ミートローフが出来上がっていた。



「もう一度言います。この場から立ち去って下さい。」

シェリー君が声を大にして宣言する。

「五月蝿い!負け犬の分際で!お前らも何を遊んでいる⁉糸なら切れ!」

指揮官がギャンギャン喚きながら手下共を怒鳴りつける。

これではどちらが犬だか解りやしない。


ブチン


糸が斬られてミートローフが瓦解する。

しかし、髪や衣服に纏わりついた糸は未だ斬られていない。

「進めェ!餓鬼に舐められる奴等は要らねぇ!」

「「「「「「ヲォォォォォ!」」」」」」

雄叫びを上げる賊達。

が、頭を人の腕にくっ付けたり、仲良く手を繋いでいたり、頬擦りをしたむさ苦しい男共が武器を空へと突き上げているその姿は滑稽以外の何物でも無かった。


番外編で賊達のラブコメが連載されます。皆さん、見て下さいね。


※嘘です。

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