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未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書  作者: 黒銘菓
シェリー君の帰省と(夏休み後編)
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集団逃走3

「テメェら何逃げてやがる!」

「クソが!ぶっ殺してやる!」

凄まじい怒りの表情を見せながら剣を振りかざして後ろから迫る賊達。

流石にこの人数ではバレるな。

小さいとはいえ村2つ分の人々。合わせて100人少々。

可能な限り道幅の広い洞窟を選んで進んではいるものの、毒と消耗によって村人の足は当然鈍い。加えて賊の撃退の戦力としては数えられない。

向こうは100人を超す大所帯。

こちらは(幽霊)シェリー君(いたいけな少女)の2人。ただし肉体は一つしか無い挙句に先頭に居ながら後ろからの追撃に対応しなければならない。

どうするか?

こうするのさ。

『岩石檻』

先頭を切って走るシェリー君が魔法を使う。同時に村人と族の間、背後の洞窟の壁が数ヵ所、グニャリと溶けたように変形したかと思うと………伸びた。

更に岩に意志が有るかのように蠢き、蛇のように伸びた岩が賊の体に巻きついた。

「何だこれは⁉」

「クソォ!奴隷が逃げたぞ!!」

悪態と罵詈雑言を吐いてはいるが、主要関節を完全に固められ、間抜けな格好で岩のオブジェに取り込まれている為、全く怖くない。

「急ぎましょう。」

二人拘束したとはいえ、まだまだここは悪党の巣窟。追手が来たらどうしようもない。

『落盤』

シェリー君がまたしても洞窟の壁に触れて魔法を使う。

今度は洞窟全体が揺れたようになり、村人の後方で洞窟の天井が崩れ落ちた。

これで後方からの賊は横から回り道する少数のみになり、後方警戒の負担は減って来る。

それでも、前方から来る輩、横道からの不意打ち………まだまだ負担は大きい。

前方からやって来る輩は特に、足止めを喰らうリスクが有って逃走失敗のリスクも増す。

「矢張り魔法とは使いようによっては便利だねぇ。」

「教授も、使ってみますか⁉」

息も絶え絶えになりつつ走り続ける。


『魔法』というのは、体内に内包する形と指向性の無い『魔力』と言うエネルギーを自身の望む形に変換して、外界の変数を書き換えるもの。

そして、書き換える変数の規模や数値が大きければ大きい程、使用するエネルギー量は多くなる。


要は、使う度にシェリー君は消耗していく。

前方からならば、『モリアーティー拳闘術』で何とか出来るが、後方ならば村人が居る為これを使わざるを得ない。

故に洞窟を塞いだ。

それでもあれだけの規模の変数の書き換えを行ってしまった。

大規模な追撃がこれ以上無いことが望ましいな。

「逃がすな――――!」

望ましくとも、残念ながら向こうも遊びではない。全力で邪魔しに来ることは見えていた。

後方両サイドから賊共がワラワラと湧き上がって来た。

「…………ッ!あと、少し!」

シェリー君の顔が曇った。




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