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家政婦辞めようと思います②

今話も読みにきてくださってありがとうございます。

相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。


一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。

「ちょうど助手が欲しいと思ってたのさ。変なやつは雇いたくないからティナがきてくれると嬉しいねぇ」


メリンダさんは魔術に疎い私が見てもすごい魔法使いだ。そんな人の助手が私に務まるだろうか。


「何も私みたいな魔法を使えるようになれって言ってるんじゃないよ。私は特別だからね。もちろんレオニスも特別だ。」


そうだ。その通りすぎて頷くしかない。


「ティナには薬草や魔法書の整理を主にやってもらいたい。それから時々来る客の応対なんかもしてくれるとありがたいねぇ」


それなら私にもできるかも。


「あの……。私、魔法はあまり上手じゃないんですが、整頓や料理は得意です。助手としてお邪魔してもいいでしょうか?」


「もちろんだ。来てくれると助かる」


そうだ! 咄嗟に頼んでしまったが、家政婦を辞めるのはレオニス様と話し合ってお願いしないと。今までお世話になっておいて突然いなくなっては申し訳ない。


「ティナの考えてる事はわかるよ。レオニスに申し訳ないんだろう? しかし今は顔を合わせる気持ちの整理もつかない」


すごい! どうしてわかるんだろう。


「どうしてわかるかって? 私は特別な魔法使いだからね。そうだ! ティナの心の準備ができるまで、とりあえず客としてうちに住んだらどうだい? ティナの気持ちの整理がついて、レオニスと話し合って、それでも家政婦を辞めるなら、その時私の助手を引き受けてくれればいいさ」


「本当にそんな事いいのですか?」


そんなの私に都合が良すぎないだろうか。


「いいんだよ。私はレオニスの事もよく知ってるからね。そうと決まればうちに行こう。荷物を持っておいで」


レオニス様に手紙を書かなきゃ。レオニス様のことだ。もし帰ってきて私がいなかったら心配するだろう。


「少しお待ちいただいても大丈夫ですか? レオニス様に置き手紙をしたいのです」


「ああ。私は二杯目のお茶を淹れてこよう。ゆっくり書くといい」


ゆっくりと言われたが、メリンダさんをそう長くお待たせするわけにもいかない。


私は少し悩んでレオニス様に宛て手紙を書いた。


『レオニス様へ。まずはお仕事を終えたレオニス様をお迎えせずにすみません。少し思うところがあり、お暇をいただきたく思います。レオニス様には何も不満はなく、私の一身上の都合で勝手な真似をして本当に申し訳ありません。少し落ち着いたら改めてご挨拶したいと思います。

ティナより』


それと心配しているだろうルチアにも手紙を書いた。


こちらはルチアの家のポストに入れておこう。


「メリンダさん。お待たせしました」


ほとんど衣類が入っているポストンバッグを手に一階に降り、メリンダさんに声をかける。


「あの。行く前に友人のパン屋に手紙を届けてもいいでしょうか。心配するといけないので」


「ああ、もちろん。そうするといいよ」


私はメリンダさんとルチアの家まで行くと、ポストに手紙を入れた。


「準備はいいかい? ウチまで飛ぶよ」


「はい。よろしくお願いします」


そして視界がぐにゃりと歪んだ。


「着いたよ。大丈夫かい?」


「はい、大丈夫です」


転移には慣れないが、二度目ともなると心の準備ができていたのか前回よりも平気だった。


メリンダさんがガチャリと玄関を開けると、ホッとする薬草の香りがした。


「2階の右側の部屋が空いてるからそこを使っておくれ。荷物を置いたら降りておいで」


「はい。ありがとうございます」


部屋に入ると、簡単なベッドとクローゼットがあった。


「なんか落ち着く……」


メリンダさんのお家はレオニス様の家のような落ち着きがあって好きだ。


荷物を置いて、一階に降りるとキッチンでメリンダさんが料理を始めていた。


「メリンダさん! 料理なら私が」


私が慌てていうと、メリンダさんは少し笑顔を浮かべた。


「私も料理は嫌いじゃないんだよ。でも、そうだねえ、とりあえず今日は一緒に作るっていうのはどうだい?」


「はい。お願いします」


「じゃあそっちで手を洗っておいで」


キッチンに並んで料理を作っていると、亡くなった母を思い出す。


旅が多かったから家のキッチンではなく野営だったが、よくこうして並んで料理をしていたものだ。


「娘がいたらこんな感じだったのかねえ」


メリンダさんも同じような事を考えていたのかな。それにしてもメリンダさんはお子さんがいるのだろうか?


「娘さんはいらっしゃらないのですか?」


思わず聞いてしまったが、無神経だったかな。


「娘はいないんだよ。でも血がつながらない息子みたいな子はいるんだよ」


そうだったのか。そういえば私はメリンダさんのことをよく知らない。若く見えるけど年も何歳くらいなんだろう。なのに何故か信頼できる人だとわかる。


「そのうちティナに紹介するからね」


愛おしそうに笑うメリンダさんは息子さんを愛しているのだろう。


「はい。ぜひ」


読んでいただきましてありがとうございました。

そろそろ終盤になります。

少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。

投稿ペースは以前より少しゆっくりになるかもしれませんが、よろしくお願いします。

感想、ブックマーク、評価もよろしくお願いします。


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