歌劇場②
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
月曜ですが無理せず頑張って。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
次の日。
私は持っている中で一番お気に入りの、レオニス様にいただいた服を着て、ルチアと歌劇場にやってきた。
「わあ。すごい豪華な内装ね。私達の席はどこかしら?」
歌劇場はルチアからも聞いていた通りとても豪華だった。
舞台には重厚な幕が下がっているし、観客席の椅子も一つ一つベルベット布が張られた立派な椅子で、外側に行くほど段が高くなっており、どこからでも観やすそうだ。
二階席の両側には貴族が座るための特別な観覧席も作られている。
「あった。私達の席はここよ」
私達は中程の一般観客席に腰を下ろした。
そして舞台が始まった……。
休憩を挟んで第二幕も終わり、舞台に幕が降りた。
前評判通り素晴らしい内容だった。
「すっごく、良かったね。ティナ」
「うん、とってもいいお話だった」
ルチアと感動を分かち合っていると、周りの女性達からざわめきが聞こえてきた。
「ほら!やっぱりレオニス様だわ」
「隣にいるのは、ほら。噂のレティシア王女様ね」
女性達が観ている方を見上げると、貴族用の観覧席にレオニス様と美しいプラチナブロンドの女性が見えた。
レオニス様は女性に自分のハンカチを差し出した。
そして立ちあがろうとする女性を、レオニス様は寄り添って支えているように見える。
「キャア! あんなに寄り添って。レティシア王女がレオニス様を見初めてルーン王国で結婚するって話は本当なのかしら」
「私はアストリエの王様がレオニス様を離さないから、レオニス様に伯爵位を与えてレティシア王女が降嫁するって聞いたわ」
「どっちにしても美男美女でお似合いよね」
呆然と離れた所にいるレオニス様を見上げている私をルチアが揺さぶった。
「ティナ。ティナ! 大丈夫? 顔色が悪いわ」
「ルチア……」
「レオニス様にちゃんと話を聞かなくちゃ。噂の真偽はわからないわ。行きましょう」
ルチアに手を引かれ歌劇場のロビーを抜けて外に出る。
「レオニス様と、レティシア様よ」
そんな声に反応して振り向いてしまった。
そこにはレティシア王女を胸に引き寄せるレオニス様がいた。
見たくないのに、レオニス様の周りだけ時間がゆっくり流れるようによく見えてしまう。
そしてレオニス様はレティシア王女を横抱きに抱き抱え、大階段にいた私の前を走って駆け降りて行った。
「レオニス様……」
キャーと黄色い声が周りを包む。
「見た?レオニス様、レティシア王女をお姫様抱っこしたわ!」
「素敵! 私もレオニス様に抱えていただきたいわ」
ルチアが何か言いたげに私を見た。
「少し前からレオニス様がレティシア王女と仲良さげに出かけているって噂があったんだ。結婚が近いんじゃないかって」
「ルチア……」
「レオニス様はティナのことが好きだと思ってたんだけど」
レオニス様が言っていた言葉が頭に響いた。
「この仕事が終わったら、ティナに会って欲しい人がいるんだ」
確かそう言っていた。
まさか。まさか。
レティシア王女に私を紹介するってこと?
読んでいただきましてありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。
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