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レオニス視点〜王子と王女と俺③

今話も読みにきてくださってありがとうございます。

相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。


一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。

夜会も厄介だが、更に王女の行き先で面倒なのが街だ。


もちろんルーンの近衛兵もいるにはいるが、あまり目立ちすぎるわけにもいかない。


かと言って王女の行動を制限する権限は持ち合わせてない。


「本日、姫様は街の探索をご希望です。孤児院、美術館、図書館などをご覧になる予定です」


思わず嫌そうな顔をしてしまったらしい。


「あら?何かご不満かしら?」


にこにことしたレティシア王女は最近不機嫌だ。


理由には心当たりがある。


ライル殿下が多忙すぎて、あまりレティシア王女の相手ができないからだ。


実はレティシア王女を狙う者たちへの対策に忙しいのだが、そんな事は言えない。


街に出ている間もレティシア王女は俺の腕に手を添えている。侍女はついているが、近衛兵は遠巻きにと指示が出ている為パッと見ると二人で街を散策しているように見える。


こんなところをティナやティナの友人に見られてて誤解されるなんて絶対にごめんだ。


「レティシア王女、お疲れではありませんか? そろそろ王宮にお戻りになられては?」


一度馬車に戻った時、いい加減にしてくれと願いを込めレティシア王女に申し出てみると。


「あら? レオニス様は私とご一緒がご不満なのかしら」


と、言われてしまった。


「不満なんてとんでもない。毎日俺なんかと出歩いて、噂にでもなったら殿下に申し訳ないなと思ったのですよ」


街で噂になってティナの耳に入るのもごめんだ。


「あら。噂になって困るのはレオニス様ではないのですか? わたくしはレオニス様なら大歓迎ですのよ」


流石に次期王子妃となる人物がそれは言い過ぎだ。


「姫様。そんなことを仰ってはいけませんよ」


みかねたレティシア王女の侍女がたしなめる。


「だって! 私がわざわざアストリエ王国までやって来たっていうのに、ライル殿下ったら全然ご一緒してくださらないんですもの」


「それは……」


やっぱりライル殿下への当てつけもあったのか。しかしライル殿下の多忙な理由を、貴方が狙われているからその対応で忙しいのですとは言えない。それこそ国際問題だ。


「なんですか? 何か理由でもあるのかしら」


「ライル殿下は今とてもお忙しいのですが決してレティシア王女を蔑ろにしているわけではありません。それだけはわかっていただきたい」


レティシア王女は何かいいたげだったが、飲み込んだようだ。


「わたくしも王族ですもの、結婚は義務だとわかってるわ。ただライル殿下が素敵だったから思わず期待してしまったの」


「ライル殿下はレティシア王女を大切にするはずです」


「そうね。そう願うわ。でも今、わたくしはこの国の王太子妃でも婚約者でもないでしょう?」


レティシア王女がニコリと微笑む。


「だからもうしばらくこの国を楽しみたいの。レオニス様、護衛をよろしく頼みますね」


はあ、いつまで続くんだ。



それからも王女に引っ張り回される毎日は続いた。


あまりのティナ不足に途中ライル殿下が王女の相手をしている時には空いた時間で急いで家に戻った。


ゆっくりはできなかったが、ティナは相変わらず可愛い。


もうだめだ。この任務が終わったら絶対ティナに告白しよう。


もしティナにその気がなければ、時間をかけてでも振り向かせてみせる。


そうだ。まずは俺のことをもっとよく知ってもらうのはどうだろう。


ティナと一緒に俺の育ての親である森の魔女と呼ばれるメリンダに会いに行こう。


ティナはメリンダにすでに会ったことがあるし、きっと喜ぶだろう。


メリンダもティナを気に入っていたようだし、ティナとの仲を後押ししてもらいたい。


よし、陛下に任務の交代を申し入れよう。


騎士団長のルードリッヒはどうだろう。

あいつはレティシア王女と面識もあるはずだ。


「陛下!一体いつまでレティシア王女の護衛任務が続くのですか?これ以上長く続くのであれば、別の人物をお願いします」


俺は陛下の執務室に急ぎ、陛下と宰相に頼み込んだ。


「レオニス、待ってくれ。もうすぐこっちも片がつくから」


またこれだ。確かモンターニュ侯爵の時もそう言ってなかったか?


「そんな言葉にはもう騙されません。すぐに交代してください。ルードリッヒなんかどうです」


「わかった、わかった。あと三日待ってくれ。それ以上長引くようならルードリッヒに代えるから」


あと三日なら仕方がない。


「絶対ですよ。言ったことは守っていただきますからね」


俺は急ぎティナの待つ家に向かった。


あと少しで任務が終わることを彼女に伝えなければ。


急ぎ馬車を飛ばし、家にたどり着く。


「ただいま、ティナ」


突然の帰宅にティナは驚いて、それからふんわりと花のような笑顔で嬉しそうに笑った。


「お帰りなさい、レオニス様」


ああ、乾ききった喉に水を与えられたようだ。


好きだ。大好きだ。


「すぐに食事を作りますね。先にお風呂に入られますか?」


ゆっくりしたいのは山々なのだが今はそうもいかない。


「悪い…ティナ。またすぐに仕事に戻らないと。でもあと二、三日中には終わると思う。もう少し待っててくれないか」


この任務が終わったら、絶対に休暇をもぎ取ろう。


「はい、気をつけて頑張ってくださいね」


ティナの言葉が何よりの栄養剤だ。


「ああ。この仕事が終わったらティナに会ってほしい人がいるんだ」


まずはメリンダに改めてきちんと紹介したい。


あと三日、あと三日の我慢だ。


俺はそう自分に言い聞かせて王宮に戻った。


読んでいただきましてありがとうございました。

少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。

投稿ペースは以前より少しゆっくりになるかもしれませんが、よろしくお願いします。

感想、ブックマーク、評価もよろしくお願いします。


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