エレナ④
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
本日2回目投稿です。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
「嘘でしょ。何でアンタがここに?」
エレナさんの家に行ってドアを叩くと、苦虫を噛み潰したような顔のエレナさんがドアを開けて言った。
「私、エレナさんとお話ししてみたくて。住所を聞いて来てしまいました」
自分にこんな行動力があったなんて驚きだ。
「来てしまいました! じゃないわよ。はあ。しょうがない。入ってよ」
エレナさんの家はキッチンと寝室の簡単な間取りだ。
魔法師団のお給料の割に質素な部屋だ。
「貧乏くさい部屋だと思ってるんでしょ。実家に仕送りしてんのよ。うちにはまだ弟が二人いるから」
なるほど。エレナさんは弟さん達のために節約しているのか。
「それと、さっきとこの前はちょっと言い過ぎだわ。アンタのことは嫌いなタイプってのは本当だけど」
なんだ、やっぱりエレナさん悪い人じゃない。
「地元じゃ魔力が高くて美人な私は有名人だったの。さらにあの魔法師団の入団試験に合格したもんだからすごく期待されてて。このまま団長や副団長にみそめられて結婚するんじゃないかって言われて出て来たら」
エレナさんは目を伏せた。
「誰も私になんか期待してないし。団長や副団長にアタックしても全く相手にされないし。魔法だって私よりすごい人ばっかだし。何もかも上手くいかなくて」
エレナさんはそんな風に思っていたのか。
「そんな時に大した魔法も使えないアンタがチヤホヤされてたからつい頭に来ちゃったわ」
「いいんです。確かに私は偽善者かもしれませんし。失うことが怖くて、何も踏み出せない。でも、レオニス様が私の魔力の詰まりを治して下さって。私も水魔法を頑張ってみようって思ったんです」
「アンタ、レオニス様が好きなの?」
エレナさんの言葉にこくりと頷く。
「はい。でも私はレオニス様の家政婦です。家政婦が雇い主のレオニス様を好きになるなんて高望みってわかってます。だからレオニス様に気持ちを言うつもりはありません」
「家政婦だったの? そんな風には聞いてないけど」
「レオニス様は二度も私を助けて下さった恩人で、優しくて素敵な人です。私はレオニス様に素敵な人と結ばれて幸せになって欲しいんです」
誰よりも輝いている、優しいレオニス様には誰よりも幸せになって欲しい。
「何でアンタが幸せにしないの?」
「へ?」
「そんなに好きならアンタが幸せにすればいいでしょ。別にレオニス様は貴族ってわけでもないんだし」
「それは……」
「まあ、私が言うことでもないけどね。私もアンタと話したら冷静になったわ。え……と、ありがとう」
少し照れているエレナさんはとても魅力的だ。
「こちらこそ、突然お邪魔してすいませんでした。あの……よければティナって呼んでもらえませんか?」
「ん、わかったわ。ティナ」
私はエレナさんの家を後にしながら、エレナさんが言ったことを思い返した。
私がレオニス様を幸せに……。
それが私にできるのだろうか?
家に帰ってもモヤモヤと色々考えてしまう。
その時、ガチャリとドアが開いてレオニス様が帰ってきた。
「レオニス様! お帰りなさい」
レオニス様は優しく微笑んで、ただいまと私の頭を撫でた。
嬉しい。会えただけでこんなに幸せだ。
私はハッとして言った。
「すぐ食事を作りますね。先にお風呂に入られますか?」
「悪い…ティナ。またすぐに仕事に戻らないと。でもあと二、三日中には終わると思う。もう少し待っててくれないか」
残念だが、あと少しだ。
「はい、気をつけて頑張ってくださいね」
「ああ。この仕事が終わったらティナに会ってほしい人がいるんだ」
え? 誰だろう?
「え? はい。わかりました」
全く見当もつかないが、レオニス様が会って欲しいと言うならもちろんお会いしたい。
「じゃあ、行ってくる」
レオニス様はそのまま行ってしまった。
そう言えば何をしに帰って来たのだろう……。
読んでいただきましてありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。
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