モンターニュ侯爵と騎士団⑤
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
3日連続、投稿です。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
夜も更けてきて、私達は交代で仮眠を取ることにした。
「いざという時にすぐ逃げられる体力をつけなきゃね」
ルチアはいつでも前向きだ。
まずは私とルチアで見張りをすることになった。
硬い床では満足に休めるかわからないが、それでも休息は必要だ。
どうにかしてレオニス様にこの場所を知らせられないものか。
もっと私に魔法の知識があれば。
皆が寝静まって、外の男達の部屋も静かになったと思ったその時、ドーンと爆発のようなすごい音がして、私たちは思わず身を寄せ合った。
「何? どうしたの!」
寝ていた女性達も飛び起きた。
隣の男達のいる部屋が急に騒がしくなった。罵倒する声や呻き声、叫び声が入り混じって何がなんだかわからない。
「ティナ! どこだ」
その中でなぜかレオニス様の声だけがはっきり聞こえた。
「レオニス様! ここです! ここにいます」
「待ってろ、今行く」
鳴り響く音や声のする部屋のドアが開いて、レオニス様が入ってきた。
紺の魔法師団の制服に身を包んだレオニス様はまるで姫を助けにきた王子様のようだ。
「ティナ! 無事か? どこか痛むか?」
ああ。 やっぱりこの人は私のヒーローだ。
「大丈夫です。レオニス様。どこも怪我してないです」
私が言うとレオニス様はホッとしたように、優しい顔になった。
「今鍵を開ける。離れていろ」
私達に鍵から離れるように指示すると、レオニス様は短い呪文を唱えて鍵を破壊した。
「ティナ、待たせて悪かったな。もう大丈夫だ」
レオニス様はわたしを抱き寄せると両手で優しく包み込んだ。
初めて会ったあの時のようなレオニス様の言葉に涙が溢れる。レオニス様の素敵すぎるお顔を目に焼き付けたいのに、涙で霞んでよく見えない。
「どうした?奴らに何かされたのか?それなら息の根を止めてくる」
隣の部屋に戻ろうとするレオニス様に、私は慌てて彼の上着の裾を掴んだ。
「大丈夫です。私は何もされてません」
「そうか……」
レオニス様はそう言っていつものように頭を撫でてくれた。
「ティナちゃん、ルチアちゃんも無事か?」
カインさんも隣の部屋から私たちの方に入ってきた。
「カインさん、助けてくださってありがとうございます」
私が言うとカインさんは私たちを見まわした。
「ここにいる捕まった人たちはこれだけ?」
「ええ。昨日までもう一人いたんだけど、どこかに連れて行かれたようなんです」
「わかった。こちらで調べよう」
その後ゾロゾロと魔法師団の人達が入ってきた。
「団長。全員生け取りにしました」
「よし! 警備に運ぶぞ」
ノエルが入ってきて私をギュッと抱きしめる。
「ティナ……無事でよかった。でも後でお説教だからね」
「はい、ごめんなさい」
私達の後ろでカインさんがレオニス様に言った。
「団長〜。邪魔されちゃいましたね」
「うるさい」
そうして新しい馬車を呼んでもらい、私達はそれぞれの家に返される事になった。
「ティナも先に帰ってろ。俺たちはまだ行くところがあるからな」
「はい、ご迷惑をかけてすいませんでした」
レオニス様は私の頭をくしゃっと撫でた。
「そんな事は気にしなくていい。疲れただろう。先に休んでいてくれ」
魔法師団の馬車には、あのマルフォンとかいう騎士団の副団長も乗せられている。
「お前ら、俺が誰だか知っているのか?俺にこんなことをして、この国に居られなくしてやるぞ!」
マルフォンは目を血走らせて怒鳴り散らしている。
「うるさい。この国に居られなくなるのはお前の方だ」
レオニス様がマルフォンの方を向いてそういうと、マルフォンの喉からヒュッと変な音がして静かになった。
青ざめているが大丈夫か。
「それじゃあ。後で」
そういうとレオニス様は騎士団の馬車に乗って行ってしまった。
「ティナ〜。そろそろ行くよ」
もう一つの馬車からルチアが呼んでいる。
「はーい」
私は返事をして、レオニス様の家に帰るために馬車に乗り込んだ。
読んでいただきましてありがとうございました。
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