モンターニュ侯爵と騎士団④
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
台風皆さん気をつけて。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
ルチアと他二人は昨日からここに連れてこられたそうだ。
その時には先に一人の女性がいたのだが、その人は意識が朦朧としているようでとても話せるような状態ではなかった。
出されたであろう食事が食べかけであった事、男達がその女性を連れ出した時に薬が効いたようだと話していたことから、自分たちはここで出された食事には手をつけていないと言う事だ。
麻薬の取引もしているようなので食事に手をつけなかった事はいい判断だ。
「そうだ! 私食べ物を持っているわ」
私は服の下に隠し持っていた魔法バッグからサンドイッチを取り出して皆んなに分けた。
さらにからのコップを出して水魔法で水を出す。
ごくごくと水を飲む三人は相当喉が渇いていたようで、更に水を追加した。
「ああ、本当に美味しい。こういうのは不謹慎なんだろうけど、あなたが来てくれて助かったわ」
一人の女性が言った。
「いえ。お役に立ててよかったです」
しばらくすると、私と運ばれた眠らされていた女性達も目を覚ました。
状況を説明すると彼女達は泣き出した。
すすり声が響き渡る中、三人の男がやってきた。
二人は騎士団の制服を着ており、一人は街のごろつきのようだ。
「どうだ?新しい女達は?俺様が直々に売り物になるか吟味してやろう」
ニヤニヤ笑いが気持ち悪い。
金髪のつり目の男だ。
「ちょっと!騎士団がこんなことして、ただで済むと思ってるの?」
ルチアが怒鳴ると男は更に笑みを深めた。
「ああ、思ってるよ。どうせ売られるお前らに教えてやるよ。俺の父親はあのモンターニュ侯爵だ。俺は選ばれた人間なんだ。だから何をしたって許される」
なんですって?
それが本当ならこの国は一体どうなってしまうのか。
「私達は一体どうなるの?」
私と運ばれた女性の一人が震える声で尋ねた。
「隣国の貴族に向けた奴隷としてオークションで売るんだよ。運が良ければ可愛がってもらえるぜ」
「そんな!この国で奴隷は禁止されているはず」
「馬鹿だなお前。だから隣国で売るのさ」
そういうと男は近づいてきて一人一人の顔をランプの灯りで照らした。
私の番だ。レオニス様の家政婦だとバレませんように。
「お前……」
私の顎を掴んでランプをかおに寄せる。
バレたのか……。
「ふうん、髪と瞳の色は地味だがなかなか顔立ちは整ってるな。なんなら俺の奴隷にしてもいいぞ」
気持ち悪い視線にゾワっと鳥肌が立つ。
「マルフォン様。女が足りてないので今は我慢してください」
もう一人の言葉にマルフォンと言われた騎士がもう一人の騎士を殴りつける。
「お前! 何俺の名前を言ってるんだ! ふざけるな」
こいつが騎士団副団長のマルフォンだったとは。
「戻るぞ!」
「申し訳ありません……」
マルフォンはもう一人の騎士の失言のおかげでなんとか戻って行った。
それにしてもここは一体どこなんだろう。
モーリスはレオニス様に伝えてくれているだろうか。
家で待ってろと言われたのに、レオニス様は怒っているに違いない。
魔法師団の計画を台無しにしてしまったかもしれないと思うと今頃罪悪感でいっぱいになる。
「大丈夫、きっとレオニス様が助けてくださるわ」
ルチアの言葉に私は首を横に振る。
「ううん、待ってろって言われたのに。レオニス様の仕事を邪魔してしまった……。家政婦失格だわ」
そんな私にルチアは優しく寄り添ってくれた。
「元はといえば私が意地を張って騎士団に一人で行ったせいよ。今はただ助けを待ちましょう」
読んでいただきましてありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。
投稿ペースは以前より少しゆっくりになるかもしれませんが、よろしくお願いします。
感想、ブックマーク、評価もよろしくお願いします。




