モンターニュ侯爵と騎士団③
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
「お願いです!友人が殴られているんです。早く助けてください!」
「なんだお前?」
「喧嘩に巻き込まれてるんです。急いで止めてください。こっちです」
名演技のモーリスのおかげで、麻袋が摘まれた荷馬車に乗ることができた。
そっと麻袋を開けると予想通り女性が入れられていた。
が、どちらもルチアではない。
「違う。ルチアじゃない。この人達生きてる…の?」
その時、ガタンと荷馬車が動き出した。降りなきゃ。
「おい、何を騒いでるんだ!」
荷馬車から降りようとした時、騎士団から三人の男が出てきた。
ちょうど荷馬車の荷台の方に回ってくる。
私は咄嗟に置いてあった麻袋を被ってしゃがみ込んだ。
「お前は早く行け!」
騎士は荷馬車のお爺さんに指示を出してからモーリスに対応したようだ。
荷馬車は私を乗せたまま走り出してしまった。
「どうしよう……」
どこかで素早く降りようと身を乗り出すも、結構な速さで走っているのか揺れがひどくて降りられない。
「どこまで行くんだろう。この人達大丈夫かな」
暗くなってきた中、袋の女性達の様子を伺うと、息はしているようで一安心だ。
ルチアもきっとどこかに連れて行かれたに違いない。
「こうなったら、この人達の連れて行かれるところまで行ってみよう」
荷馬車にしばらく揺られると、やっと目的地に着いたようだ。
馬車が止まると私は急いで麻袋に入り、すでに寝かされてきる麻袋の横に同じように並んだ。
御者をしていた老人が降りる気配がして、程なく男の声がした。
「今回は二人と聞いていたが、三人に増えたんだな。待ってろ追加の金を取ってくる」
男がお金を取りに戻った気配がして、老人の呟きが聞こえた。
「今回は二人だったと思ったが、三人だったか?まあ金が増える分にはいいか」
それを聞いて私は自分がどれだけ危険な事をしているか、ゾッとした。
しかしもう後には引けない。
「ほら三人分の運び代だ。わかってるとは思うが命が惜しければ余計な事は言うんじゃないぞ」
「へい。わかっておりますよ」
男は他に二人連れてきており、私たちは麻袋に入れられたまま担がれたようだ。
乱暴な担ぎ方に思わず声が漏れそうになったがなんとか抑えられた。
「おい、大事な商品に傷がついたら困るから丁寧に運べよ」
程なくドサリと床に置かれる音がした。
麻袋を開けられたのか、閉じた瞼の裏が明るくなる。
「おい、お前ら。また飯食ってねえじゃねえか。痩せたら商品価値が下がるんだからちゃんと食え」
「誰がアンタ達の持ってきたもんなんか食べるもんか。早くここから出してよ」
この声は! ルチア!
「待て待て、オークションまでまだ日があるんだ。もう二、三人集めたいと仰っているからな」
がちゃんと何かが閉まる音がして、しばらくすると女性達の話し声がした。
「この子達も騎士団に攫われたのね。かわいそうに」
「なんとかこの状況を気づいてもらえないかしら」
「怖い……。私一体どうなるの?」
もう目を開けてもいいかもしれない。
うっすら目を開けると、心配そうに覗き込むルチアと目があった。
「ティナ? ティナなの? あなたどうしてここに? その髪の色どうしたの?」
動揺しているルチアにまずは落ち着いてと言う。
「ルチアを探しに騎士団の様子を見ていたら成り行きでここにきちゃって……」
ざっくりと状況を説明する。
「ティナ…あなた、レオニス様はこの事をご存知なの?」
「知らない……。レオニス様は家で待ってるようにって……」
「呆れた……。でも心配してくれた事はありがとう」
そう言ってルチアとすでにいた二人の女性は今の状況を説明してくれた。
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