モンターニュ侯爵と騎士団②
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
今日から新学期の皆様、無理せず頑張って。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
魔法師団に着くと、ノエルが私を呼び止めた。
「ティナじゃない?どうしたの?またレオニス様の忘れ物?」
走ってきた私は息を切らしたままノエルに言った。
「レ、レオニス様は……?」
「団長室にいると思うけど……」
ノエルがそう言うが早いか団長室まで駆け上がり、ドアをノックした。
「レオニス様、ティナです! 入ってもよろしいですか?」
私の声が切羽詰まっていたのか、すぐレオニス様がドアを開けてくれた。
「ティナ! どうした? 何かあったのか!」
「レオニス様!ルチアが…。ルチアを探してください」
レオニス様は私の肩に手を置くと、中に促した。
「まずは落ち着け。話を聞こう」
レオニス様は私をソファに座らせると、カイン様にも隣に座るよう言った。
「それで。何があったんだ」
私は昨日のルチアの話と、今日ルチアのお母さんから昨日からルチアが戻ってきてないと言われたことを伝えた。
「騎士団で何かあったとしたら……。ああ、やっぱり私がついていけばよかった」
項垂れる私に、レオニス様は優しく頭を撫でた。
「いや、ティナが行かなくて良かった。詳しくは言えないが騎士団の事は今こちらで動いている最中だ。ルチアはきっと無事に助けるから家で待っていてくれないか」
「でも……。ルチアが……」
「すまない、少し待っていてくれ」
そうレオニス様に言われて家に帰ったものの、ルチアが心配でいても立ってもいられない。
そうだ!レオニス様に迷惑がかからないように変装して外から様子を伺うのはどうだろう。
幸いレオニス様の部屋には、魔法の研究でできた色々なアイテムがある。
例えば目の色を変えるメガネや髪色を変える粉。
それらを使えば私がレオニス様の家政婦だと気づかれないんじゃないだろうか。
「少しだけ……。様子を伺うだけ」
自分にそう言い訳して私は粉を髪に振りかけ茶色の髪に変えた。
鏡の前で眼鏡をかけると瞳の色も茶色に見える。
「レオニス様……。すぐ帰ってきますから。ごめんなさい」
誰もいない家に向かって言い訳し、私は家を出た。
「勢いでやってきたもののどうしよう……」
騎士団の入り口が見えるところまで来て近くの物陰に隠れてみたものの、当然中に入れるわけもなく途方に暮れていた。
「やっぱりレオニス様達が動けるようになるまで待つしかないのかな……。でもルチアが今どうなってるのか心配だし」
「おい」
突然背後からの声に驚きで心臓が止まりそうになった。が、恐る恐る振り向くとそこにいたのはモーリスだった。
「モーリス!驚かさないで」
「悪い。お前もルチアが心配で見に来たのか」
「ええ、ここにはもういないかもしれないけど、いても立ってもいられなくて」
モーリスもパン屋でルチアの事を聞いたのだろう。
私はレオニス様にルチアがいなくなったと伝えてある事、レオニス様の方で動いているから家で待つように言われた事をモーリスに伝えた。
「なのにお前はいても立ってもいられずここにいるわけか」
おっしゃる通りです。
「それならお前は帰った方がいい。魔法師団で何か動きがあったら教えて欲しい」
モーリスにそう言われて、私が帰ろうとした時だ。
一台の荷馬車がやってきて騎士団の前で止まった。
荷馬車から降りてきたのはなんと、以前私を騙して売り飛ばそうとしたあのお爺さんではないか。
「どうした?ティナ」
モーリスに慌ててお爺さんのことを説明する。
そうこうしているうちに、騎士団の団員が二人、大きな麻袋を担いでやってきた。
あの袋はもしかして…。
モーリスも同じ考えだ。
「モーリス!騎士団員達の注意を逸らしてくれない?私その間にあの袋の中身を確認するわ」
私がそういうとモーリスは反対した。
「ダメだ。ティナに何かあったらレオニス様に顔向けできない」
「お願い。私は騎士団に顔が知られてるかもしれないから。見るだけですぐに荷馬車から降りるから」
「〜〜絶対だぞ。すぐに戻るんだぞ」
そういうとモーリスは騎士団の方に駆けて行った。
読んでいただきましてありがとうございました。
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