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あの戦いがあったから

(そんなバカな……ただの人間がそんなものを創り出しただって……? 流石は機関史上最高の英知と言われた才媛だ。僕も鼻が高いよ!)


 そんなことを言ってる場合か? と思っていると、案の定アカネが【ゾハル】に取りついていた。


「何をほざいておる小童が。おぬしが鼻を高くする道理はこれっぽっちもないのじゃ! このボケ!」


 傷の入った【ゾハル】をボコボコ殴りながら、アカネは罵詈雑言を浴びせている。

 と思ったら、無数の歯車が集まってできた手がアカネを鷲掴みにし、大きく振り回した。


「なんのこれしき!」


 光を身に纏ったアカネが、歯車の腕を破壊して振りほどく。


「アイリス! やるのじゃ!」


 アカネと入れ替わるように【ゾハル】に取りついたアイリスが、にこやかな表情で拳を叩き込む。


「いい加減、消滅してくださりませんと」


 アデライト先生とアカネの乱撃によってボロボロになっていた【ゾハル】は、アイリスの一撃で真っ二つ砕けた割れる。

 本日二度目の粉砕であった。

 究極の存在だと豪語する割には、案外すぐにバラバラになるもんだな。意外と【ゾハル】ってのは脆いのか。


 いや違う。

 俺の仲間――恋人達が強すぎるんだ。

 結局のところ、俺が愛する女達は有能オブ有能ということだ。

 だからこそ俺は信じなければならない。何もできない状況でも、もどかしく思うことない。信じ抜いて見届ける。それが今の俺の役目だ。


(おっと。なかなか頑張るものだね。でもそんなの関係ない。いくら物理的な破壊を生じようと無意味。【ゾハル】は無尽蔵のエネルギーを得ていると言っただろう? 何度だって再生できる。それこそ無限に)


 どれだけ殴っても効かない、か。

 この光景、以前目にしたことがある。親コルト派が王都を襲撃した時だ。

 コルト死天衆と名乗る幹部達の中に、『体力』のミーナという女がいた。前世界のフィードリッド曰く、ミーナの体力はすべてを超越していると。


 あいつはエレノアの最上級魔法フレイムボルト・レーヴァテインや、アイリス渾身の一撃を喰らっても平然としていた。無傷だったのは何度でも再生するからかもしれないとフェザールは推測していたが、そうなるといよいよ【ゾハル】と同じだ。

 ミーナはファルトゥールとの関係も匂わせていたが、結局のところよくわからなかった。どれだけ攻撃しても倒せなかったから、アイテムボックスに収納することで処理したからだ。


 つまるところ、【ゾハル】との戦いは『体力』のミーナ戦の再来なんだ。

 それが分かっていたから、アデライト先生はアイテムボックスに封印するという発想を得た。

 まさかあの時の戦いが伏線になっているなんて思いもよらなかった。


 世界が創り変えられても、過去と現在、そして未来は繋がっているんだ。

 俺達が生き続ける限り。


「ルーチェ! 今じゃ!」


「はい!」


 アカネの号令で、飛翔していたルーチェがゾハルに接近する。

 いっけえぇぇぇぇぇぇルーチェ!

 あの時のように、今回もそのアイテムボックスに敵を封じ込めてやれ!


「これで、終わりっ!」


 ルーチェがアイテムボックスを握り締め、【ゾハル】に触れた。

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