LAST BOSS戦
「言わなくていいぜ。興味ないからな」
俺は大鎌を一振り、臨戦態勢をとる。
「興味ない……か」
乾いた笑いが響く。
「まったく。それでこそキミだ。ロートス・アルバレスはそうでなくちゃ」
「俺っつー人間をどう見ようと勝手だがよ……お前のものさしで測れるほど、安い男じゃねぇんだよ」
俺は床を蹴りつけ、前へと跳び出す。
大鎌の使い方はなんとなく理解した。大きい割りには思ったよりリーチがない。刃が内側についており、刈り取るような軌道を描かなければならないからだ。
切っ先を当てるにしても技量がいる。簡単には当たってくれないだろう。
だから俺は、大鎌のぶん回しを牽制に、一気に距離を詰めた。
「らあぁッ!」
得意気に斬撃をいなしたマシなんとか五世の鼻面に、全体重を乗せた頭突きを叩き込む。額に鈍痛。まるで鋼鉄の塊に打ち付けたかのようだ。
「ぐ……」
マシなんとか五世は、目尻に涙を滲ませて鼻を押さえていた。
効いてる。人の身体を持つ以上、弱点は同じ。
「もういっちょ!」
俺は更に前進し、今一度の頭突きを放つ。
「同じ手は食わないよっ」
それを嫌がったマシなんとか五世が、距離を取るべく強くバックステップを踏んだ。
だが、そこに待っているのは大鎌の鋭い刃。
マシなんとか五世は、自ら刈り取られる方向に動いていた。
ズッ――という気味の良い音と共に、マシなんとか五世の胴体が上下に分割された。
「なっ――」
何が起きたか分かってないだろう。
「頭突きに気を取られ過ぎだ」
俺が大鎌に慣れていないように、こいつだって人の身体で戦うことに慣れていない。
何百年も機械の身体だったんだ。人間は前しか見えないし、鼻面を打たれれば痛いし、冷静じゃいられない。戦士なら誰だって知っていることだ。
とはいえ、これが普通の武器じゃダメだった。生死を司るエンディオーネの大鎌だからこそ斬ることができた。
ありがたやエンディオーネ。
「はは。これは驚いた。驚きの適応力だ」
マシなんとか五世の上半身と下半身が、血と臓物を撒き散らして倒れた。
「瞬時に武器の特性と、僕の弱点を見抜くとはね」
澄んだ蒼い瞳は生気に満ちていた。まるでおもちゃを前にした少年のようだ。
「お前が言うように、俺はずっと戦ってきたからよ。一夕一朝じゃ身に付かない経験があるんだわ」
思い返せば、転生してからというもの休むことなく戦ってきた。俺の人生は戦いの連続だった。
「お前の考え方を否定するつもりはねぇ。ちょっとは共感できるとこもあるからよ。けど、俺の道を邪魔するってんなら、俺はお前の生き方を否定しなきゃなんねぇ」
大鎌を振り上げ、とどめの一撃を準備する。
「言いたいことはたくさんあるが、聞きたいことは何もねぇ。さよならだ。マシなんとか五世」
そして俺は、躊躇なく大鎌を振り下ろした。




