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夢かなった

 俺の言葉を聞いた先生は、じっと俺の目を見つめ、しばらく何も言わなかった。それからふと目を伏せて、綺麗な長い金髪を梳いてから、再び俺と目を合わせる。


「ロートスさん。私は今まで、若い男性なんて皆おこちゃまで、人生の趣きも風情も、醍醐味もわかっていないものだと、そう思っていました。ですがその考えは、改めなければならないようです」


「先生……?」


「ロートスさん。ここまで来たら隠す必要もありません。私は人生で初めて、異性に惹かれています」


 なんと。まさかアデライト先生にそんなことを言われるとは。思ってもみなかった。


「初恋が俺なんかよかったんですかね……」


「ええ。あなたでよかった」


 俺も隠さず白状しよう。実を言うと、俺は巨乳好きである。

 だから、アデライト先生に好意を向けられるのは控えめに言って最高なのだ。むろん、おっぱいだけじゃないぞ。そもそも先生は半端ない絶世の美女だし、お茶目なところがあるし、眼鏡っ娘だし、魔法学園の教師になれるほど優秀だし、つまるところ非の打ちどころのない女性なのだ。


「ちなみに、俺のどういうところにそんな魅力があると?」


「それを聞きますかー?」


 頬に手を当てて顔を逸らす先生。あれ、なんかすごくかわいいぞ。

 相好を崩して赤くなった先生はちらりを俺を窺うと、居住まいを正してずれた眼鏡を直し、こほんと咳払いをした。


「えてして人は、自身の不遇を環境のせいにしてしまいがちです。良いスキルを貰えなかったから。裕福な家に生まれなかったから。親がまともではなかったから。友人に恵まれなかったから。言い出せばキリがありません。けれどあなたは、そんな愚痴を一切こぼさなかった。不遇を嘆かず、運命に立ち向かうと言い切ったのです。そういう風に言える人はそうはいません。あなたくらいの年齢ならばなおのこと」


「そうかなぁ……」


 それくらいなら、エレノアだって同じようなことを言いそうなものだが。うーん。そこまで褒められるようなことだろうか。


「俺は、人間には運命を切り開く力があると信じてますからね。甘ったれた考えかもしれないけど、そっちの方が希望があるじゃないですか。自分の生き方次第で未来を変えていけるんだって」


「ロートスさん……もう好きです」


「ええっ」


 アデライト先生のツボがわからん。


 そんな俺の感想などいざ知らず、先生はソファを立って俺に抱きついてきた。座っていた俺に覆いかぶさるようにして。

 とてつもなく柔らかい感触が俺を襲う。具体的には大きなおっぱいが俺の顔面に押し付けられているのだ。ローブの開いた胸元から覗く谷間は、柔らかくもあり、肌はきめ細やかでもちもちしていた。


 あ、これ息できねぇやつだ。


「んーんー!」


「あ、すみませんつい」


 限界まで息を我慢して抗議したところで、先生は我に返って俺から離れた。

 あぶないあぶない。おっぱいの感触を楽しむために呼吸の限界に挑戦するんじゃなかったぜ。

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