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一夜明けて

 翌朝。


 世界会議が再開したが、その日の空気は昨日よりも重たかった。

 それもそのはず。

 参加者が目に見えて減っている。半分ほどだろうか。

 昨夜のネオ・コルトによる襲撃で死傷者が多く出た。そして、逃げ出して自国へ戻った者も少なくない。


「昨夜、親コルト派を名乗る武装集団がこの王宮を襲撃した。これは我らグランオーリスの失態。参席の皆様には、平に謝罪申し上げる」


 壇上で、セレンは深々と頭を下げた。

 その姿を、国家主席達はじっと見据えている。


「謝って許される問題アルか!」


 机を叩いたのはリュウケンだった。

 意外だな。こいつは真っ先に自分の国に戻ると思ったんだけど。


「この国の警備は、杜撰すぎるアル!」


 悔しいが言い返せない。襲撃されて大きな被害が出たのは事実だ。

 そうだそうだと、他の国の者達も声をあげる。その多くはグランオーリスとセレンへの批判だった。


「愚かな」


 そんな者達を嘲弄したのは、ヴリキャス帝国の女帝ヴィクトリア二世だ。


「愚かだとアル! 我らは危機に見舞われた! 責任を追及するのは当然アル!」


「それが愚かだと言うのです。親コルト派なる組織の狙いは世界会議の破壊。あなた達にグランオーリスを責めさせ、人類の団結を分断する。こうまで思惑通りになるとは、敵も笑いが止まらないでしょう」


「くっアル! 失態を犯したグランオーリスを庇うつもりアルか!」


「庇ってなどいません。私は事実を申し上げたまで。あなたが愚かであるということも含めて」


「な、なんだとアル!」


 リュウケンが立ち上がったのを見て、隣に座っていたアルドリーゼがその肩を押さえつけた。


「ま~ま~。落ち着きなよ~。グレートセントラルの天子様とあろうお方が~」


「は、離せアル!」


 アルドリーゼに力づくで座らされ、リュウケンはぶすっとした顔になった。子どもかよ。いい歳したおっさんのくせして。


「昨夜の襲撃について、その首謀者と交戦し情報を得た者がいる」


 セレンの発言に、会場がざわついた。


「それは誰ですか?」


 ヴィクトリアの問いに、セレンは一息ついてから答える。


「ロートス・アルバレス」


 すべての視線が、俺に集中した。


「あー……」


「こっちへ」


 セレンに手招きされ、俺は壇上に上がる。

 咳払い。


「親コルト派の統領は、ティエス・フェッティという男だ。奴は『ドリーム・リキッド』というスキルの持ち主で、多くの戦力を保有していると見られる」


 俺が口にしたスキルに、みな驚いているようだ。伝説のスキルと言われているからな。


「親コルト派という組織には聞き覚えがあります。世界中で一斉蜂起したテロリスト。我がヴリキャス帝国でもそれなりの被害が出ました。王国の英雄エルゲンバッハがそれらを率いていたということは有名ですが、当の親コルト派についての情報はあまり得られていない。一体どのようなものです? その目的は?」


 ヴィクトリアの質問だった。

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