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謎めいているじゃ~

「なんでもヒーモ・ダーメンズは、グランオーリスでS級冒険者になってるんだってさ」


「まじで? あいつが?」


 S級っていうと、めっちゃ強いやつやぞ?

 俺の知っているS級っていうのは、あのオー・ルージュとかいう女冒険者だ。

 でもあいつは王国のS級。

 グランオーリスのレベルがクソほど高いことを考えると、ヒーモの実力は相当なものだと推測される。


「まぁ、彼のスキルを考えれば当然かもって話。何の因果か、時代は彼に味方しているんじゃないかな」


 ヒーモのスキルって、あれだろ。たしか『エビルドア・ファインダー』とかいうモンスターを手下にするテイム系の能力。

 待てよ。

 リリィの言う、時代が味方しているってのは。


「もしかしてだけど。瘴気に侵されたモンスターも、テイムできるのか?」


「うん」


「なんだよそれ。チートじゃねぇか」


 瘴気でパワーアップしたモンスターをテイムできるなら最強だ。そりゃS級にもなるわな。


「つまり、ヒーモは今グランオーリスでぶいぶい言わせてると」


「そ。王国貴族達は彼をほとんど追放みたいな感じで国外へ追い出したから、それが面白くなくて話題に出さないって話」


 なんだかなぁ。

 貴族ってめんどくせーな。

 俺はぜったい貴族なんかにならないぜ。平民バンザイだ。スローライフといえば平民だしな。


「なるほど。ヒーモのことはわかった。元気そうでなによりだ」


「まぁ、王国にいた時よりは生き生きしているって話」


 よしよし。グランオーリスに行った時には、あいつのことを探してもいいかもしれない。用事のついでにな。


「もう一つ、聞きたいことがあるんだが」


「なにかなー?」


 リリィは三つ目のパフェに手をつける。


「ダーメンズ家の従者で、アカネっていう女の子がいただろう? そいつについて、行方とかわかるか?」


「あー、あの子ね」


 リリィはぴたっと手を止める。


「二年前にいきなり姿を消したよん。噂じゃ、死んだんじゃないかって話」


 だろうな。

 だってアカネはずっと俺の隣にいたわけだし。


「でも、最近になって目撃情報がちらほらあるよん。でも、眉唾かなー。短い期間に世界各地で姿を見たって話。普通じゃ考えられないしね」


 普通だったらそうだろう。

 でもアカネは普通じゃない。

 一瞬でどこでもひとっとび的な動きをするからな。

 ううむ。しかしそうなると、足跡を追っていくのは難しいか。運よくバッティングするのを祈るしかない。


「わかった。サンキュな色々教えてくれて」


「いいってことー」


「でもよ。どうしてそんなに色々と詳しいんだ? ただの魔法学園生にしては、貴族の内情とか個人の情報まで知ってるなんて」


 聞いておいてなんだけど、リリィの素性が気になる。


「わたしは新聞部に所属してるんだー。だから、情報には人一倍敏感って話」


 いやぁ。情報に敏感ってレベルじゃないと思うんだけど。


「もちろん。キミのことも知ってるよ。ロートス・アルバレスくん」


 すっと目を細めるリリィ。

 俺もそれに倣った。


「俺の何を知ってる?」


「キミのことならなんでも」


 にへらと表情を崩すリリィ。


「わたしってば、キミのファンなんだよ。だからなんでも知ってる」


「そいつは聞き捨てならねぇな。どういうことか詳しく教えてもらおうか」


「ま、そのうちね」


 そういって残りのパフェをかきこむリリィ。

 そして、席を立つ。


「パフェ三杯で教えられる情報はここまでって話。続きはまた今度。気が向いたらね」


 リリィは従者を従えて店を出て行ってしまう。

 その背中を追おうかとも考えたが、やめておいた。

 これ以上の面倒事を抱えるのはちょっとしんどいわ。害になりそうでもなかったし、後回しでいいだろう。


 とにかく、ヒーモとアカネについて情報が手に入ったことは、うれしはずかし朝帰りというやつだ。

 完全にな。

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