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最終決戦だとでもいうのか

 山頂にたどり着くまでには、かなりの数のモンスターと戦わなければならなかった。

 城壁の内部は強力なモンスター達でひしめいており、一匹一匹が一国の軍事力に匹敵するくらいの戦闘力だった。

 そんな奴らを閉じ込めておくこの山の封印力はすごい。

 古代人の英知ってやつなのかな。


 まぁ、俺にかかれば一国の軍事力に匹敵するモンスターなんてカスみたいなもんだ。

 文字通り指先一つでモンスター達を排除していった。


 そんなこんなで難なく山頂に到達。

 そこには、大きな街の痕跡があった。


「これは……」


「廃墟……いえ、遺跡ですかね?」


「みたいだな」


 オルタンシアと一緒に遺跡を見渡す。

 何千年も昔、ここには大規模な街があったようだ。古代人が住んでいたのだろう。今はすっかり荒れ果てているが、高度な文明の残滓が見て取れる。


「なんつーか。まぁ、聖域指定されているのも頷けるというか。考古学的にはすごい価値がありそうな場所だな」


「むやみに触ると怒られそうです……」


 言えてるな。


「さて。ここに来れば自然とエストのところへ行けるって言ってたけど」


 俺が呟いた瞬間、遺跡の中央から地鳴りが起こる。

 そして、屋外にも拘らずエコーがかかった声が一体に鳴り響いた。


『よくぞここまで辿り着いた。〈尊き者〉よ』


 びくっとしたオルタンシアが俺に抱き着く。


「な、なんですか。この声」


「神的なアレか?」


 どこから聞こえてるんだろう。


『その通り。わしが、神じゃよ』


 このフレーズ。

 いつかの石像が言ってたやつと同じだ。


「エストなのか?」


『神じゃよ』


「エストなのかって聞いてんだよ」


『わしが、神じゃ』


 話になんねぇ。

 エストには意思がないらしい。だからこんな壊れたテープレコーダーみたいな答えしか返ってこないんだろう。

 あらかじめプログラムされた受け答えしかできない。人造の神にふさわしい振る舞いだな。


「どこにいる? 出てきやがれ」


『お前がわしを見つけるのではない。わしがお前を見つけるのじゃ』


「は? 殺すぞ」


 大体こういうのは大きな建物か、もしくは一番高いところにいるのがセオリーだ。

 この遺跡にも神殿だったところがあるだろう。


「種馬さま。あれ……見てください」


 オルタンシアが指さした先、遺跡の中央付近。朽ち果てて崩れていて原型がわからないが、そこには確かに大きな建物らしきものがあったような雰囲気がある。


「光っています。あの光、なんでしょう」


「光? そんなのあるか?」


 目を凝らしてみても、光はない。


「ほら、あれです。とっても強く光っています」


「あー。そういうことか」


 俺には見えない。でもオルタンシアには見える。


「鍵にしか見えない的な? 多分そんな感じだな」


 つまり、あそこが扉なんだ。あそこからエストのところに行ける。


「なにがわしがお前を見つけるのじゃ、だよ。さっさとカチコミかけてやるから待ってろ」


 俺はオルタンシアの手を引き、光があるという方角へと飛んだ。

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