表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
298/1001

強さを実感するのでは

「まじか……こいつは正直、たまげたな」


 ヒーモ含め新入生達を蹂躙したあの石像だ。


「わしが、神じゃ」


 わかってるって。繰り返すなよ。

 巨大な拳が、天を衝く。

 そして、凄まじい勢いで振り下ろされた。


 轟音。俺は何とか間一髪で避ける。

 反射的に回避してしまったが、それがいけなかった。

 石像の拳は床を破壊し、塔全体を大きく揺るがした。


「まずい」


 このままじゃ塔が崩落する。そうなれば、下にいるマホさんやアイリス、学園生たちが巻き込まれるぞ。


「させるか」


 入学当初は手も足も出なかった巨像だが、今の俺なら戦えるはずだ。


「神じゃ。わしが」


「倒置法ッ!」


 俺は跳躍し、石像のふとももにローキックをお見舞いする。

 ぐらりと巨体が傾き、片膝をついた。

 やった。効いてる。


 だが、それで油断してしまった。

 巨像は屋上の中央に浮いていたクリスタルを掴むと、そのまま上空のコッホ城塞へとぶん投げる。


「っ! サラっ!」


 しまった。初めからそれが狙いだったか。

 モンスターになっても、任務を遂行する意思が残っているってのか。


「くそっ!」


 俺は床を蹴り飛ばし、上昇するクリスタルを追おうとする。

 が。


「神じゃ!」


 石像の手のひらにはたき落とされる。

 強烈な勢いで屋上に叩きつけられ、俺は一時呼吸を忘れた。


「いってぇな……っ!」


 なんとか立ち上がるも、かなりのダメージを負ってしまった。ファーストエイドを使い、全快する。さすがは俺だ。

 しかし、まずい状況には変わりない。

 この石像、やっぱりとんでもなく強い。

 死にまくって『妙なる祈り』の力を引き出した俺でも勝てるかどうかわからない。世の中そんな甘くはないってことかよ。

 捨てられた神殿でボロボロになっていたくせに、いざ自分で戦うとなるとこんなに脅威になるとはな。


「アカネって……思ってた以上に強かったんだな……」


「なんじゃ。いまさら気付きおったか」


「……え?」


 おい。いつの間に。

 俺の隣には、のじゃロリモードのアカネが腰に手を当てて胸を反らせていた。

 相変わらず神出鬼没なやつだ。


「手こずっておるようじゃの」


「はっ。そう見えるか? まだまだこれからだぜ」


「強がるのもいいが、眼前の敵にかまけて目的を忘れるでないぞ」


 頭上を仰ぐ。

 サラの入ったクリスタルは、コッホ城塞に吸い込まれるようにして消えていく。

 なんとなくああなる気はしてたんだよな。『妙なる祈り』の影響か、なんとなく未来を予知する能力が芽生えている気がする。


「まあよい。まずはこやつをなんとかせんとな。他に被害が出ては事じゃ」


 アカネがいるなら楽勝だ。以前も一人で倒していたしな。


「神じゃ。神なんじゃ。わしこそが、神」


 俺の安堵をあざ笑うかのように、石像が光り輝き出す。そこに集約される不可思議な力を感じ、俺は反射的に身構える。


「なんじゃ。これは……!」


 アカネも驚いている。

 マジでやばいやつじゃねぇか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ