表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
294/1001

そうはさせるか

 なんてこった。

 俺とエレノアは塔の頂上に立っていた。

 学園のどんな建物よりも高い位置からは、王都が一望できるほどだ。


「なんでこんなところに……」


 エレノアも困惑している。

 ここからどうするべきか。

 エストを消滅させるっていう目的はあるけど、一体どうやってそれを果たすのか。

 儀式を行える神族はほぼ全滅してしまったし、どうしようもないんじゃないか。

 エンディオーネの言った通り、ルーチェに聞いてみるしかないな。


「そういえば、戦いはどうなったかしら」


 そうだ。ミーナとの戦いはまだ続いているのだろうか。


「塔を下りよう」


「そうね。でもどうやって……さっきみたいなエレベーターもないし、階段だって見当たらないわ」


 塔の最上階は手すりすらないただの屋上みたいになっている。飛び降りるわけにもいかないし、どうしたもんか。

 考えていると、俺の尻ポケットが振動する。

 念話灯の着信だ。


「もしもし」


『ロートスくん! たいへん!』


「ルーチェ? 一体どうした?」


『サラちゃんが動き出して、塔の方に向かってるの!』


「まじか……! クリスタルは消えたのか?」


『ううん。クリスタルのままだよ。私もいま先生のお母さんとそっちに向かってる!』


 どうなっているんだ。

 サラが動き出しただと。

 女神ファルトゥールの仕業か?


「ロートス、あれ!」


 エレノアが指した方向を見ると、巨大なクリスタルが浮遊してこっちに向かってきていた。


「サラ!」


 クリスタルは見る見るうちに近づいてきて、まもなく塔の頂上に到達する。

 そして、最上階の中央で静止した。


「なにが起こってるの……?」


「さぁな。悪いことじゃなけりゃいいんだが」


 生まれたままの姿のサラは、クリスタルの中で眠っている。意識はあるのだろうか。これはこいつの意思なのか?


「ロートス! あれ! 今度はなに!」


 次にエレノアが指さしたのは真上。

 直後に影が差す。雲を突き抜け、頭上に現れたのは降下してくるコッホ城塞。ヘッケラー機関の本拠地であった。

 なんなんだよ。次から次へと。

 頭が追い付かねぇ。


 巨大な浮遊城は塔の上空で止まる。

 そこから何百人もの人間が飛び立ち、俺たちのところに降下してくる。


「こっちに来るわ」


「エレノア。俺の傍から離れるな」


 瞬く間に飛来した機関の構成員たちは、次々と屋上に着陸する。

 そして、クリスタルへと群がった。


「おい! 何してやがる!」


 俺の叫びなどまるで無視。

 奴らは協力してクリスタルを持ち上げようとしていた。


「もたもたするな。急ぎ回収しろ」


 指揮官らしき男が指示を鋭く飛ばす。

 野郎。サラをコッホ城塞に連れていくつもりだな。

 そうはさせるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ