やっと会えた
エレノアの手を引いて、俺は大通りへと向かう。
王城の周りは比較的被害は少ないようだ。
だが、離れるにつれて破壊された建物や、動かなくなった被害者も増えてくる。
「ひどい……」
「これが戦争だ」
「それは、わかってるわ。でも、兵士でもない、罪のない人たちまで、こんな目に遭うなんて」
「ああ。許されることじゃない」
走りながら、俺達は言葉を交わす。
どんな大義があるかしらねぇが、このまま親コルト派を野放しにするわけにもいかないか。
奴らを裏で操ってた白髭はエンディオーネが殺したけど、それだけじゃもう止まらないだろう。戦いを止めるには、親コルト派そのものを消滅させないといけない。
「けど今は先生と合流するのが先決だ」
やがて大通りへと辿り着く。
激戦区なだけあって、被害はほかの場所の比じゃない。死体の数も多すぎる。血や臓物がまき散らされているのは、なんともおぞましい光景だ。
「静かね……」
エレノアの呟きに俺も同意するぜ。
さっきまで戦っていたとは思えないほどの静けさだ。
周りの王国兵たちも、戸惑った様子で周りを警戒しているだけ。
「ロートスさん!」
これは。
先生の声だ。
振り返ると、金髪を振り乱して駆け寄ってくるアデライト先生の姿。
まるで体当たりでもするかのような勢いで、俺に抱きついてきた。
「ロートスさん……来て下さったのですね」
「もちろんですよ先生。無事でなによりです」
俺は先生を抱きしめ返す。
大きなおっぱいの感触がまことに心地よい。やっぱ最高やな。
ちなみに、先生の耳はハーフエルフ特有の形になっている。やはり『千変』が解かれているようだ。
「ちょっと! そんなことやってる場合じゃないでしょ!」
エレノアが俺を引っ張り、先生から引き離す。ああ、至福の時間が。
「まったく……見境ないんだから」
そんなことはないぞ。ちゃんと見境はある。
「エレノアちゃんも、ありがとう。助けに来てくれたのですね」
「いえ……私は、ロートスについてきただけですし」
「それでも、嬉しいです」
先生はエレノアをぎゅっと抱きしめた。
「あ、あの……」
「ありがとう」
おお。
美しい二つの花が重なる様はなによりも美しいのだ。
よきかな、よきかな。
「意外と遅かったな。婿殿」
いつのまにか隣にフィードリットがいた。
「これでもめっちゃ急いだんだけど」
「アディが待ちくたびれておったぞ。ふがいない婚約者だ」
「言い訳はできないな」
まぁ、とにかくよかった。
「先生。みんなと合流しましょう。とりあえず学園に向かおうと思っているんですけど、どうですか?」
「ええ。よいと思います」
エレノアから離れ、先生は眼鏡を位置を直しながら、
「サラちゃんのこともあります。学園にはまだ戦火は届いてないでしょうし。そこでこれからのことを話し合いましょう」
よし。方針は決まったな。
「親コルト派は、どうするんですか?」
エレノアは疑問を口にする。
「王国軍に任せきりでもよいのですが、放っておけないというのなら、撃滅した方が後味はいいでしょう」
「放っておいたら、また罪のない人達が死んじゃう。そんなの、イヤなんです」
エレノアのはっきりとした意思表示に、アデライト先生も力強く頷く。
「はい。先生も同じ気持ちです。幸い戦況は落ち着いています。今のうちに作戦を練りましょう」
それがいい。
「なら、ひとまず学園へ行きましょう。フィードリットも来てくれ」
「むろんだ」
「そこで、今起こってる妙な現象についても話す」
俺のチート能力のことを、みんなに説明しなきゃならないしな。




