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ガンガンいこうぜ

「作戦はどうするの?」


「作戦か」


 エレノアが神妙な面持ちで尋ねると、イキールは考えるような素振りを見せる。


「簡単だ。突っ込んで斬り伏せる。それしかない」


「なにそれ。作戦でもなんでもないじゃない」


「はは。いいじゃねぇか分かりやすくてよ。アタシはそういうの大好きだぜ」


「坊ちゃま……」


 各々がそれぞれの反応を見せている。


 いやぁ、そんないい加減でいいのかよ。戦争って命を賭けるもんじゃないのか。

 作戦はもっとちゃんと考えなきゃダメだろ。高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応する、とかな。


 その時、亜人軍の方から笛の音が聞こえてきた。

 これは多分、攻撃の合図に違いない。


「撃ってきたぞ!」


 思った通りだ。

 亜人軍の最前列に並ぶ弓兵が、ロングボウによる攻撃を開始していた。矢が光っているところを見るに、ただの弓矢じゃないな。おそらく、マジックアイテムの一種だろう。油断はできない。というかしてほしくない。


「行くぞリッター! 亜人どもを蹴散らすぞ!」


「はっ!」


 イキールとリッターの全身が仄かに輝き、大地を蹴って急加速。二人して敵陣に突撃した。


「マホさん!」


「ああ! アタシらも暴れるか!」


 エレノアは乙女の極光を纏い、イキールの後を追い、亜人の軍へ一直線に猛進。

 マホさんはというと、その場でグレートメイスを地に叩きつけていた。すると、巨大なメイスが脆くも砕け散る。


 え?

 いや、よく見れば違う。いくつかの部品に分かれただけだ。それらは形を変え、マホさんの胴体、四肢、頭部を覆っていく。

 まるで合体ロボットみたいに。

 数秒後、マホさんは金属のごつい全身鎧に包まれていた。メイド服と鎧の組み合わせが、やけにマッチしている。


 は? めっちゃかっこいい。男心をくすぐるカラクリである。琴線に触れるってやつだ。

 マホさんは鎧の継ぎ目から青白い光を閃かせながら、亜人の軍へと突っ込んだ。


「まじか……」


 全員突っ込むのかよ。

 いくら作戦がないといっても、なんかあるだろ。せめて前衛と後衛で役割を分担するとかさ。


 いや、呆れている場合ではない。

 たとえ俺にできることがなくても、居ても立ってもいられないんだ。

 とにかく何を行動を起こさなければ。俺の医療魔法とかなら、多少の役に立てるはずだ。あとは、肉壁にもなれるはずだしな。


 俺は草むらから出ると、意を決して走り出す。

 今まで俺が培った全てを総動員させて、エレノアを守るんだ。それしかない。


 そして俺は、亜人軍へと突っ込んだ。

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