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未来はどうなる?

 それから数分後。

 俺はカード村の中心で行われている戦闘を、家屋の陰から覗いていた。


「なんだこのラットマウスは!」


「気をつけろ! 速いぞっ!」


「ただのラットマウスだと思うな! こいつ、おかしいぞ!」


 おー。アイリスの奴、上手くやってるようだな。

 ラットマウスに化けたアイリスは、辛うじて肉眼で捉えられるほどの動きで、ガウマン軍を翻弄しているようだ。

 そして、一人一人確実に体当たりで気絶させている。すごい。


「うそだろ! またやられた!」


「バカな! 強すぎる!」


「たかがラットマウス一匹に何を手間取っている! 早く仕留めろ!」


 ガウマン侯爵も苛立っているようだ。

 しかし、あれがイキールの父親か。なんというか、改めて見ると典型的な貴族然とした風貌だな。


 さて。

 ここまでバレずに来れたけども、どうしたものか。

 見えるのは正規兵の姿ばかりでエレノアをはじめ学園生らしき団体はいない。

 先生の連絡が正しければ、そろそろここに到着するらしいが。


 その時だった。

 村の外から、重なり合う雄叫びと、地響きのような音が聞こえてくる。

 この音は、なんだ?

 その正体は、慌ててやってきた伝令の兵によって明らかになった。


「報告! 亜人共が攻めてきました!」


「なんだと!」


 ガウマン侯爵が半ば怒号のように答えた。


「数はどれくらいだ!」


「目算で百を超えております!」


「百だと……!」


 結構な数だな。一体どこからやってきたのか。


「このふざけたラットマウスと、亜人を両方相手にせねばならぬのか……厄介だぞ」


 やばいな。これは想定外の展開だ。まさか、亜人が攻めてくるとは。

 直後、また別の方向から伝令の兵がやってきた。


「報告します! たった今、魔法学園より派遣された学徒兵三十名が到着いたしました!」


「なんと! よいタイミングだ!」


 うそだろ? 俺は頭を抱える。


「その学徒兵に亜人どもの相手をさせろ」


「は、しかし。三十人で百人を相手にするのは……」


「ふん。汚らわしい亜人など、それくらいで撃滅できる。ここへ来たのは魔法学園の精鋭であろう。最悪、時間稼ぎになればいい」


「了解しました」


 なんてこった。

 まずいことになったぞ。


 とにかく、エレノアのところに行かなければ。アイリスは放っておいても大丈夫だろうし。

 俺は村の草むらに隠れ、匍匐前進をしながら伝令兵の後を追った。

 服が汚れるとかどうでもいい。


 やっとのことで辿り着いたのは、村の入り口である。

 そこには三十人の学園生達が立ち並んでいた。

 各学年のスペリオルクラス、あるいはマスタークラスの生徒だろう。面構えが違う。

 そしてやはり、その中にはエレノアの姿もあった。

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