表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/1001

パーティメンバー選定の巻

 ウィッキーはかたちの良い顎を撫でながら、


「セレンのスキルは? 差し支えなければ教えてほしいっす」


「私のスキルは『ロックオン』。射撃や投擲に、自動照準補正と追尾能力を付与する」


「は? つよ」


 思わず驚愕の声を出してしまった。

 エイムアシストにホーミングだろ? チートじぇねぇか。


 しかし、ふるふると首を振るセレン。


「『ロックオン』は時間がかかる。必中でもない」


 にしても強力なスキルであることに変わりはない。


「なるほど。それなら選択肢は限られてくるっすね。セレンは攻撃魔法を伸ばすのがベスト。それも威力特化の魔法がおすすめっす」


「火力支援」


 セレンの言葉に、ウィッキーが首肯する。


「この際、前衛での戦闘力は捨てるっす。『ロックオン』があるなら、どでかい一撃を確実に当てる役割を担うべきっすね」


「わかった」


 ふむ。確かに、能力は特化した方がいい。一人で戦うわけではないんだし、それぞれが明確な役割を持ち、それを全うするのが合理的だし、なにより分かりやすい。


「なら、俺は?」


「問題はそれっすよね。先輩から聞いたっすけど……ロートスのスキルって、クソなんすよね?」


「そーだな。でも数だけは多いぜ」


 これまでの経験を鑑みるに、クソスキルだって使いどころがないわけじゃない。腐っても神から与えられた能力なわけだしな。だが、あまりにも限定的すぎる。『偽装ED』とかどこで使うんだよマジで。


「魔法を使うにあたって役に立ちそうなスキルってないんすか?」


「ない」


「即答っすか……」


「あったら最初から使ってるんだよなぁ……」


「それもそっすね」


 正直なことを言うと、俺も自分のクソスキルを全て把握しているわけじゃない。自分の中にあるものだから知ろうと思えば知れるが、数が膨大なために把握には多くの時間がかかるのだ。


 ウィッキーの口から漏れたのは溜息だった。

 彼女の声はあまりにも良い。神に愛されているのではないかと思うほどの美声だ。溜息に混じったかすかな声は、俺の中にある男心の琴線に触れる。


「悩ましいところっす。ロートスには何が合ってるのか、ウチには分かんないっす」


「だよな。俺にも分かってない」


 そして、たぶん誰にも分からない。


「エルフの森に向かうメンバーを考慮するのがいい」


 セレンがそんなことを言い出した。


「ああ、たしかに。それだと俺の役割が浮き彫りになりそうだな」


 いまのところ確定メンバーは。


 俺。

 セレン。

 アデライト先生。

 フィードリット。


「この四人か……」


「あ、ロートス。もちろんウチも行くっすよー」


「まじか。そいつは心強いな」


 ウィッキーが加わるとなると百人力だ。


「戦力的なことを考えれば、アイリスも連れて行った方がいいか……」


 最強の布陣だな。


 こうなると、エリクサーを手に入れるなんて楽勝な気がして来たぜ。

 あまり人が多すぎても身動きが取れなくなるかもしれないから、六人くらいがちょうどいいだろう。


「ロートスは支援に徹した方がいいかもっすね」


「ああ。俺もそう思う。医療魔法をメインで覚えてみるか」


 方針は決まった。

 あとは俺の努力次第だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ